冷え性に効果的な入浴剤である「漢方生薬湯」について
体質に合った「漢方生薬」を湯に入れた薬湯
ひと口に冷え性といっても、その原因や症状は人によって様々です。
これは人によって体質が異なるからで、当然、治療法や服用する薬もその人の体質や症状によって違ってきます。冷え性の補助療法として、漢方生薬を入れたお風呂(薬湯)に入浴する療法があります。この場合も、その人の体質や症状に合った生薬を用いれば、かなりの効果が期待できます。
そこで、漢方的にみた冷え性のタイプのうち、代表的な4つのタイプについて解説いたします。
腎陽不足証(じんようふそくしょう)
足腰がいつもだるく、疲れやすいという人がこのタイプです。「腎陽不足症」とは「腎」(西洋医学でいう腎臓の働きだけでなく、ホルモン系や生殖器系などの働きも含む)に身体をあたためるエネルギー(陽気)が不足しているタイプで、そのため冷えや倦怠感があらわれます。このタイプの人には「またたびの実」「黒文字の実」「呉茱萸(ごしゅゆ)」といった生薬がおすすめです。
血虚受寒証(けつきょじゅかんしょう)
血液が不足している状態を東洋医学では「血虚」といいます。「血虚受寒証」は血圧が低く、常に貧血気味で、それが冷えを助長しているのです。このようなタイプの人には、血の不足を補う「当帰(とうき)」「せんきゅう」「干葉(ひば)」がよく効きます。
肝気鬱結証(かんきうっけつしょう)
体内には「気」(生命エネルギー)がめぐっていますが、「肝気鬱結証」は文字通り「肝」の気のめぐりがとどこおっているタイプで、ストレスが強く、イライラすると冷えるのが特徴です。肝気鬱結証には、「陳皮(ミカンの皮)」「ハッカ」「しその葉」が効果的です。
血瘀阻絡証(けつおそらくしょう)
血の巡りが滞っているために、のぼせやすいのがこのタイプの特徴です。したがって、血行促進効果のある「紅花(こうか)」「当帰(とうき)」「せんきゅう」といった生薬を使います。
複数のタイプに思い当たる点のある方は、漢方薬局で相談してブレンドしてもらってください。
薬湯のたて方
1回あたり20~100gの生薬を木綿かガーゼで作った袋に詰めて、お風呂に沸かすときに袋ごと浴槽に入れます。
給湯式のお風呂の場合は入浴する20分ぐらい前にお湯に入れておきます。
お湯の温度はぬるめ(40度前後)にして、足から腰まで20~30分間漬かってください。
2週間ほど続けると、効果が現れてくるはずです。