冷え性に効果的な漢方薬である「四物湯」について
冷え性や更年期症状に「四物湯(しもつとう)」
「四物湯(しもつとう)」は昔から婦人病の聖薬と言われ、婦人に用いる漢方薬の基本となっています。冷え性、更年期障害、生理不順、不妊症など、女性の病気・不快症状の改善に広く用いられてきました。女性は月経など特有の生理現象があるために、血液やその循環に異常が起こりやすい傾向があります。
手足の冷えも血液の循環が悪くなり、流れが滞ったために起こりますが、東洋医学ではこれを「瘀血(おけつ)」と呼んでいます。へその脇の下方を押さえてみて、痛みがあるようなら、「瘀血(おけつ)」があるとみてください。
「四物湯」には、その名前が示すとおり、「当帰(とうき)」「芍薬(しゃくやく)」「川芎(せんきゅう)」「地黄(じおう)」の4種類の生薬が含まれています。
「当帰」と「地黄」には、増血作用や血行をよくする働きがあり、「瘀血」の解消に効果があります。とりわけ、「当帰」に含まれている“ビタミンB12”と“葉酸”は増血機能に深い関係があることが知られています。
“ビタミンB12”は血液中の赤血球が成熟するために重要な働きをしており、また、“葉酸”はたんぱく質の合成に欠かせない核酸の生成に関与することを通じて、赤血球の成熟に関係します。このため“ビタミンB12”と“葉酸”どちらかが欠けても赤血球が減って、悪性貧血が起こりやすくなります。
「四物湯」がその人に合うかどうかは、おなかの診断が決め手になります。へその上に手を当ててみてドキドキと拍動を感じるようなら、「四物湯」が適合します。皮膚に潤いがなく、いわゆる“さめ肌”であること、腹部が全体的に軟弱なことも目安になります。
ただし、「四物湯」は著しく体力が衰えた人には使えません。さらに、胃腸が丈夫なことが使用できる条件になります。「地黄」が含まれているために、胃腸の弱い人が飲むと胃もたれなどを引き起こすことがあるからです。
普通、漢方薬は食前に飲んだほうが効果的ですが、「四物湯」の場合だけは食後に飲んだほうがいいでしょう。
「四物湯」を毎日、朝晩飲み続ければ、肌がなめらかになり、手足の冷えはもちろん、生理痛や更年期障害などの不快症状もおさまります。